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慶應義塾大学 (日吉) 講義要綱原稿 (2003 年度)

科目名: 物理学
サブタイトル: 素粒子物理と宇宙
教員名: 青木 健一郎


素粒子物理と宇宙物理は 20 世紀に始まった物理と言えるでしょう.原子の実 在も銀河の存在も確立したのは 20 世紀初頭です.2002 年のノーベル賞がニュー トリノ宇宙物理へ与えられたことに象徴されるように,自然科学の中で最小の スケールを扱う素粒子物理と最大のスケールを扱う宇宙物理の関係が密接にな りつつあります.本講義では現在の素粒子物理と宇宙物理の世界像を理解する のが最終的な目標です. 現代物理の基礎となる量子力学相対性理論は時間 をとって説明します.基礎的な物理の概念について必要に応じて解説しながら 講義を進めます.

物理学では講義と実験を隔週ごとに行います.実験は通常2人1組で行ない, 簡単なものばかりなので恐れることはありません. 実験はこの科目の重要な一部です.実験から結果を取り出すにはどのような過 程を経ているのかを体験して,初めて自然科学的な考え方が実感できると思い ます.実験の内容がどのように日常経験する現象と結び付いているかは説明し ます.

物理の本質は「なぜ」という問題に答えるところだと思います.なぜそのような現象が起きるのかの仕組み,なぜその理解が正しい と主張できるのかの根拠,そしてなぜそのような理解に至ったのかの 歴史,といった面を意識して講義を進めていきます.抽象的な概念は常に具体 例を使って考えます. 高校で物理を学んでいることは前提としません. 使う数学 は中学程度のものです.皆さんには新しいものにチャレンジする心と疑問があ る点は質問する積極性を期待します.


講義で課すレポート,実験レポート,そして講義と実験の平常点を評価 の材料とします.試験はしません.


実験の教科書: 「物理の実験」 慶應義塾大学日吉物理学教室編
講義の教科書: 特にありません.参考書は適宜紹介します.



もし役に立つのであれば原文をお送りします.email: ken@phys-h.keio.ac.jp までお知らせ下さい.原文は LATEXファイ ルです.(ほぼフラットファイルです.)



平成15年7月28日