科学特論 (1997 年度 夏期スクーリング)

講義要綱

「宇宙物理と相対性理論」

今回の科学特論では物理で 20 世紀に大きな発展した分野である相対性 理論と宇宙物理をとりあげる.これらの分野の理解は 20 世紀以前のも のとは似ても似つかぬものといって良い.

本講義においてはまず原子・分子に基づいた現在の物質像,エネルギー, 温度,波の干渉といった根本的概念を説明する.このような基礎物理の 理解は以降扱う内容の理解を大きく助けることになる.そして特殊相対 性理論を学ぶ.特殊相対性理論はアインシュタインの創造したエレガン トな理論であり筋だって学べば決して困難なものではない.次に現代の 宇宙像,星の一生といった宇宙物理を扱う.一般相対性理論,そしてブ ラックホールとはどのようなものか?といった内容を最後に扱う.時間 が許せば量子力学も少し紹介したい.

現代物理は結果のみを聞くと直観に反したり,不思議な面も多い.しか し,種を明かせば物理現象は自然なものばかりである.本講義では物理 現象が{\bf なぜ}起こるのかという仕組みを理解する.現在の理解の根 拠となる実験/観測の結果,考え方に至るまでの歴史的な紆余曲折,発 想の転換なども随時説明する.このような背景を知ると現在の考え方は むしろ当たり前のように思えるのではないであろうか.現在の宇宙の観 測なども適宜紹介する.

20 世紀の物理の難しさはいかに先入観にとらわれずに新しい概 念を受け入れられるかという点に主にあり,文化系の学生であるから理解でき ないということは決して無い.高校で物理を学んでいることは前提とし ないし,使う数学は中学程度の初等的なものである.

講義の教科書: 特になし
参考図書


評価,雑感など

評価について

終了後の所感


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Last modified: Tue Aug 5 23:59:14 JST 1997