量子力学なしでは原子の存在は理解できません.光速に近い速度での運 動の分析には特殊相対性理論が必要です.量子力学と相対性理論は古典 物理の矛盾を解決するだけでなく,革命的な概念を導入しました.これ らの概念は我々の直観に反する奇妙なものに感じるかも知れませんが, 理解すればむしろ自然に感じられると思います.
本講義で強調したいのは数式の導出だけではなく,それが何を意味する かの理解です.簡単な物理現象を例として何が起きているのかを考えな がら講義を進めます.物理現象において何がおきているかを理解するの は重要な考え方であるし,この点を考えないと現代物理は混乱しやすい 分野だと思います.数式を用いた導出とともに,大雑把なオーダーの把 握,直観的な理解,といった面も強調します.高校程度の数学しか使い ません.
時間の許す限り必要な中学,高校の物理の概念を復習しつつ講義を進め ますが,高校レベルの基礎的な物理は学んでいると仮定します.
学生の皆さんには,判らないところがあったら質問する積極性を期待し たいです.
評価は中間と学期末の 2 度の試験の結果をもとにする予定です.